銀行員だけでなく、社会人として重要な知識を学べる資格である銀行業務検定。この記事では財務3級の難易度や合格率、勉強方法を紹介します。受験を考えている人や勉強法に悩んでいる方は特に参考になります。
銀行業務検定は数種類ある
銀行業務検定とは法務、財務、税務、年金、信託・証券、マネジメント、融資・渉外、為替、金融経済、預かり資金等、相続など様々な種類がある。名前は銀行業務検定と銀行員向けに見えますが、銀行員以外の人もたくさん受験されています。
その中でも今回は財務について書いていきます。財務は4級、3級、2級となっており、1級はありません。財務4級に関しては内容も簡単すぎてお金を払って受けるのはもったいないと思います。したがって受験するなら3級からが望ましく一般的でしょう。
財務3級の概要
財務3級の概要は以下の通りです。
※2020年1月時点の情報です。
- 受験料 → 4320円(税込)
- 受験資格 → なし
- 出題形式 → マークシート形式50問(1問2点)
- 科目構成 → 財務諸表30問、財務分析20問
- 合格基準 → 60点以上(変動あり)
- 受験時間 → 150分(試験開始後60分間、終了前10分間は退出禁止)
- 受験日 → 3月・6月
合格率は3~4割
銀行業務検定財務3級の合格率は下記の通りです。
- 第139回(2018年3月4日) → 42.34%
- 第140回(2018年6月3日) → 27.76%
- 第142回(2019年3月3日) → 39.54%
- 第143回(2019年6月2日) → 33.14%
上記のように合格率は約3~4割なので、それほど低くはありません。受験者層は、基本的に金融系が多いですが、個人として受験する人もたくさんいらっしゃいます。
合格率だけを見れば、難易度はそれほど難しそうに見えないですね。しかし、簿記や財務の勉強をしていない人からすれば、そう簡単ではありません。
難易度:少々難しい
ここではあえて、難易度を「少し難しい」としています。銀行員としてすでに実務として働いている人や、商業高校出身の人からすれば、さほど難しいとは感じないでしょう。
しかし、財務3級で初めて財務に触れる人からすれば、ほとんど全ての単語が初めて聞く単語です。
さらに、ただ暗記するだけでは問題は解けません。いくらマークシートだからと言っても意味をしっかりと理解していないと答えに迷うことが多くなるでしょう。
何事も基礎が一番大事と言われるだけあって、基礎が一番難しい。応用ができていないのも基礎ができていないこととほぼ等しいと言えます。財務3級は基礎の部分となるので、内容をしっかりと理解しておきましょう。
財務3級を勉強すると2つの能力が身につく
決算書にある財務3表とは主に、下記の3つのことを言います。
- 貸借対照表(B/S)
- 損益計算書(P/L)
- キャッシュフロー計算書(C/F)
そして、財務3級の試験内容が頭に入っていると簡単な財務分析や財務3表の構造がわかるようになるので、下記の2つの能力が身につきます。
- 「決算書を読む力」
- 「経営状態を把握すること」
財務知識の中でも基礎的な部分が内容となっています。またマークシートでの試験であることから、暗記しようとする人もいるかもしれませんが、内容をしっかり理解しておくことをお勧めします。
財務3級を理解していないとただ計算式にあてはめたりするだけになって、上記の2つの知識は身に付きません。
次に具体的な勉強の進め方をご紹介いたします。
具体的な勉強の進め方①:勉強前に新書を2冊読む
上記で書いている通り、難易度はそれほど簡単ではなく、意味を理解していないと問題を解くのは難しいです。マークシートだけに過去問の内容をただ暗記をするだけでも合格する可能性はあるでしょう。しかし、しっかり意味を理解していないと合格しても相応の知識はつきません。
また、公式テキストは範囲を網羅していますが、財務を初めて勉強する人にとっては決して優しい内容ではありません。
したがってある程度書いていることをイメージできるように初級編の書籍をあらかじめ読んでおくことがおすすめです。それが下記の2冊です。
この2冊は、どちらか1冊でも読んで意味はあります。しかし、2冊とも違った視点から描いているので、どちらも読んだ方が財務諸表に関する理解度が高まります。
『財務3表一体理解方』で財務3表のつながりやそれぞれの考え方を知ることができます。
そして『財務3表図解分析法』では、実際に財務3表を図で示しながら具体例とともに書いています。
おすすめは、『財務3表一体理解法』を読んで財務3表の構造やつながりを知り、そのあとに『財務3表図解分析法』を読むことで図と具体例から実際の財務諸表の読み方を学ぶ。とすれば財務諸表に関する知識がより一層深めることができます。
この2冊は公式テキストを読む前に読んでおくことが望ましいです。これまで財務の勉強をしたことのある人でも、一度は読んでいただきたい。
これを読めば、決算書の内容が読めるといっても過言ではないです。
具体的な勉強の進め方②:公式テキストを1周する
新書を2冊読んだ後は、公式テキストを1周しましょう。なんといっても公式テキストは試験範囲ですので、少なくとも1度は目を通しておいた方が良いです。
新書を読んだ後でしたら、公式テキストの内容を理解することができるようになっています。
公式テキストの内容ができるようになれば、問題集でわからないところはほとんどないです。
具体的な勉強の進め方③:問題集(過去問)を繰り返す
公式テキストを読んだ後は、ひたすら問題集を繰り返しましょう。上記にも書いているように時間があるのであれば、試験範囲を知ることができるので公式テキストは読んでおいた方が良いです。
また問題集でわからないところがある場合には補足説明として読むこともできます。
問題集は5回分の試験が収録されています。例年通りなら、9割以上は問題集の内容と似た問題が出題されます。
まったく同じ問題ではないので、暗記しているだけでは解けない問題が多いので気を付けましょう。
問題集の問題を理解できるようになれば、テストで90点台をとることもできます。
時間がない人の勉強法:直前整理と問題集
中には「仕事が忙しくて勉強する時間がない」という人や「資格だけ取れればそれで良い」という人もいるでしょう。
そういった人は公式テキストの内容からよく出題される項目に特化した短いテキストが公式に出版されています。
通常このテキストは、テストの直前に内容を理解できているのかを再確認するテキストです。公式テキストよりも内容は省略されている部分はありますが、時間があまりない人にはうってつけのテキストです。
そして、このテキストを1周した後は問題集をできるだけ繰り返すようにしましょう。時間がないと言っても試験内容は過去問の内容が多いので、問題集は必ず目を通しましょう。
合格後は2級に挑戦しよう
財務3級に合格した後は、財務2級に挑戦してみましょう。財務3級と2級の違いはほとんどマークシートか論述かの違いしかないです。
財務3級の内容をしっかり理解しておくと2級の勉強はそれほど苦労しません。財務3級の内容を憶えている間に2級は受けてしまいましょう。時間をあけて内容を忘れてしまってはもったいないでしょう。
2級に挑戦したいと思っている人は下記の記事を参考にしてください!